7月から新しい職場で働くことになりました。
特に要望があったわけではありませんが、文章だと読んでて眠くなりかねないので、たまにはQ&A形式で書いてみたいと思います。質問は実際にリアルでいただいた内容ばかりです。
Q.今までどんな仕事をしていたんですか?
私は2000年に新卒入社したIT企業で、エンジニアやマーケティングに携わっていました。CSR部門で東日本大震災の復興事業に携わったのを機に、東北復興や地域活性化の息吹をもっと間近で経験したいと考え、2014年にNPOに転職(当時の選考はここに書けないくらいヌルいもんでした。今はちゃんと選考していますYo!)。
4年半ほどそのNPOで、情報システム基盤整備や採用、広報に携わり、最後の約1年間は新規事業企画も兼務していました。
Q.なんで転職したんですか?
働く理由には「CAN・MUST・WANT」の重なりが大切だとよく言われますよね。
私にとっての「MUST」と「WANT」が、ある原体験によって大きく変化したことが、転職の大きな理由のひとつです。
その原体験とは、2016年に妹を失ったこと。
妹は薬剤師としてのキャリアを望んでいましたが、昔から繊細な性格で、職場の人間関係やストレスに悩んで転職を繰り返していました。知らない土地でのワンオペ育児も災いし、追い詰められた結果だったと推察しています。
家族って、どんなに物理的に離れていても、普段あまり仲良くなくても、失ってしまうとやはり、片腕がもがれたような喪失感があるものですね。文字にしてしまうとキレイ事になってしまうのですが、私は妹を助けることができませんでした。それが事実です。
性別役割意識がまだ跋扈している社会ですが、女性だって自分の強みを輝かせて社会的承認を得ながら生きていきたいと考えるのは当然で、それなのに女性であるがゆえに不当に低い評価を受けたり、過剰に忖度しまくらざるを得ないのが、ここ日本で起こっている事です。
その原因は社会構造にあり、個人の意識と、数多くの職場、そして行政、それぞれに対して今以上に推進していかないといけない。こんな風土、うちの娘が働き始める頃には、「昔の話」と笑えるようにしておかないと。
東北のことはもちろん大切です。これからも自分にできることはやっていきたい。けれど、私自身も当事者であるこちらの社会課題に、これからコミットしようと決意した次第です。
Q.今度の職場はどういうところですか?
株式会社Warisという、総合職女性をターゲットとした人材紹介・キャリア支援に取り組む社会企業(あえてこの呼び方をします)に参画することになりました。社員数20人弱、創業6年目のベンチャーです。「Cue」というWebメディアも運営しており、特に首都圏でキャリアもライフも大切にしたい女性を中心に、最近知られてきている企業です。
昨今の「働き方改革」は残業や有休の議論が中心で(それはそれで大切ですが)、「働きがい」という側面は完全に置いてけぼりになっています。それは「多様な働き方」を受け止められ、活用できる、いわば職場側のキャパシティが全然追いついていないからです。
とはいえ、ゼロから組織づくりに取り組み、フルタイムの雇用は難しいけれど専門家に週数日でも参画してほしいと考えている中小企業やスタートアップはたくさんあります。Warisはそういった需要を開拓し、柔軟な働き方を望む女性たちとマッチングしています。
また、専業主婦などブランク期間を経て再び働きたいと考える女性向けにインターンシップなどの復職支援を行う、Warisワークアゲインというプログラムも運営しています。
Q.その職場に決めた理由はなんですか?
Warisは働き方を「雇用する/される」の関係だけでなく「役割ごとにつながる」すなわち個人事業主(フリーランス)として法人と個人が対等に協力し合う働き方もアリだよね、という考えのもと事業に取り組んでいる、とってもユニークな会社です。
着眼点や狙いの真っ当さに、とても共感しています。
出産前にはバリバリと能力を発揮して活躍していた方が、出産後も働き続ける比率は50%を超え、寿退社という言葉はほぼ死語になりました。
ところが出産を機に、職場からの過剰な配慮や、産育休のために人員補填してポストが充足してしまうなど、いろいろな理由で働きがいや評価が下がって悩んだり、残業ができないという理由で時短勤務を解除できなかったりといった、ワーキングマザーのしんどさは一向に減る気配がありません。
また、出産を機に退職してしまった方は、さらに大変。最近は「超売り手市場」などと言われていますが、これは建設現場をはじめとするブルーカラーや専門職において顕著な傾向であり、いわゆるホワイトカラー(事務職)は全く当てはまらないと考えるのが健康的です。2017年データでは、職種全体の有効求人倍率は2.87倍に対し、事務職は0.24倍!(参考記事)求人1件に対し、4人の求職者が応募している計算になります。その理由は参考記事にも詳しく書かれていますが、要するに今すでに事務職で働いている方が、あまり辞めなくなったんですよね。
では、一度退職してしまった方はもう事務職で働くことはできないのでしょうか。決してそんなことはないはずなのに、トライする前に諦めている方が多いように、正直感じます。
育休後カフェ® の場や、あるいは友人知人などと話している折、「わたし、事務しかしてこなかったから、つぶしが利かなくて、なんの強みもウリも無くて・・・(泣)」という言葉を度々聞きます。
私はそのたびに「それって本当に本当?ちゃんと自己分析した?」と食い下がり、粘り強くコーチングしています。そうすると履歴書や職務経歴書に書けるようなスキルや資格とは違った、その人ならではの強さや価値観を反映したエピソードが必ず出てきます。
そんな、十人十色の多様な個性を、たった一つの職場だけに縛り付けるのは無理があると思うのです。いくつもの職場で、得意なことを生かし価値を発揮できる、フリーランスという働き方は職場・個人ともにWin-Winになる要素が多く、大きな可能性を感じています。
一方でフリーランスにはまだ、社会的に風当たりが強く、誰もがフリーランスで活躍できるという状況にないのも現実です。それでも、選択肢として確立させていくことは誰かがやらないといけないことです。その担い手になりたいと思ったのが、決め手になりました。
Q.どんな選考スタイルでしたか?
私の場合、エージェント等を介さない直接応募です。メールマガジンでアシスタント募集の情報を読み、アシスタントに興味ある旨を連絡してみたところ、アシスタントではなく正社員でどうかというお話をいただき、まずは面談で職種の説明を受けました。その後2回、面接で足を運び、同時にWeb適性検査(SPI含む)も受検しました。
※Warisに限らず、選考プロセスは各企業によって個人差が大きいので、ごく参考まで。
面白いな〜と思ったのは、1回目の面接です。私は現職で採用業務も少し関わっていたので、ごく一般的な選考プロセスとして「1回目の面接はマネージャー級、最終面接は社長」かと思い込んでいたのですが、まあ実際マネージャー級の方もいたんですけれど、それ以外のスタッフの方が、わらわらわらわらと部屋に入ってこられてタマゲましたw
人事担当の方を含めてなんと5人 vs 私1人。
内容はよく覚えていませんが仕事観や、ベンチャーあるあるなど、面接といえば面接ですが、雑談といえば雑談(笑)。えーと、楽しかったですwww
5月末にタイムラインを若干賑わせた「結局のところ生き残るのは、仲の良い会社だ」というひろゆき氏のエントリーは、個人的にはすごく同感で、「コイツとなら一緒に仕事してもいい/したい」というモチベーションは組織をとても強くすると、私は考えています。エントリーで紹介されている「Googleスタイル」を、もしかするとWarisも踏襲しているのかもしれません。入社したら中の人に聞いてみたいと思います。(違ったりして)
余談ですが適性検査といえば「SPI」。私は「うわー懐かしー♪」などと浮かれてバカにしており、痛い目に遭いました。もちろんこういうのが得意な方は良いと思いますが、私は恥ずかしながら算数が大の不得意で、SPIで頻出する算数問題がけっこうつらい。
私の場合、書類通過したすべての会社の適性検査がSPI。数問程度、多くて数十問以上も登場したので、最近算数や国語の問題解いてないな〜というベテラン社会人各位は、あまりバカにせず、少し時間を取って、SPI対策本1冊でいいので、やっておいたほうが無難です。
Q.子持ち女性の転職って大変じゃないですか?
結論からいって「子持ち」かどうかは全く関係ありませんでした。書類を用意したり、面接の時間調整したりといった時間を捻出するのが大変なのは、誰だって同じですし。
Waris以外に書類を送った会社は10社弱、このうち面接したのは4社で、2社は華麗に落とされました(笑)が、Waris含め2社から内定いただきました。
・・・と書くと、うまくいったように見えてしまうかもしれませんが、当初、広報やエンジニア(カスタマーサクセス)としてのキャリアアップも模索したところ、うまくいきませんでした。某大手転職エージェントにも一応登録しまして、一緒に考察してもらったところ、年齢が高すぎるとか、スキルが中途半端といったことが原因と推察しています。
そもそも、いろんなことを経験してきた私のスペックは、「幅広い知見がある」と言えなくもありませんが、経験ひとつひとつは長くて3年程度。自分なりに一貫性はあるんですけれど、こいつとっ散らかっているな、と受け取る人のほうが、おそらく多いと思います。
ましてや、人材に関する仕事ははじめての挑戦です。なので、「これまでの総合職経験を生かしたマッチングができそうだな」「ビジョンが明確で、簡単に辞めそうな人物ではなさそうだな」と思ってもらうためのセルフブランディングを意識して、面接や書類等を準備したつもりです。
ベースになるのは「自分が、自分が」と自分猛アピールをするのではなく、相手(企業側)が私にどんな価値を提供してもらいたいと考えているのかをとことん想像し、相手の気持ちとすり合わせる作業です。「ただのアピール」と「関係づくり」は全く異なります。
育休から復職をする際、復職面談に臨むための論点を整理したシートをGoogleドキュメントで作り、これに沿って理論武装した経験が、とても役に立ちました。
ちなみに、選考プロセスにおいて絶対避けたほうがいいのは「私は子持ちだから配慮してくださいね」と伝わってしまいかねない質問です。具体的には有休や時短、休みやすさなど。尋ね方次第では、心証を悪くしかねません。
とはいえ、知っておかないとまずい情報ばかりですから、私は質問の仕方やニュアンスを少し工夫して、ポジティブに伝わるようにしました。例えば「時短勤務は取れますか」と聞くのではなく「時短勤務を取得されている方は、これまでにどのくらいいらっしゃいましたか」に変えるといった具合です。
更にシビアな内容は、内定をいただいてから、条件合意時にゴリゴリ確認しましょうね。
Q.「育休後カフェ®」の活動はどうするの?
もちろん、今後も無理のないペースで続けていきます。
本業では数多くの「職場」の成長にプロとして関わり、育休後カフェ® はキャリアを大切にしたい育児中の方々「個人」と向き合う場として位置づけています。
複業、ひいては「福業」(自分や周りにとってのHappy)にできれば、と夢見ています。
Q.色んな理由で転職を考えているワーキングマザーへ、何か伝えたいことは?
まず、「子持ちだから転職できない」は都市伝説です。大事なのは「自分」がこれからどうやって・なんのために働きたいか、働く上で何を大切にしたいのかクリアにし、納得のいく働き方を追求し続けること。
「働く」ことは、社会に価値を提供し、社会から数多くの恩恵を受け、その関係で社会と繋がり続けることだと私は考えています。
出産すると女性の中には、自分自身の展望よりも、こどもやパートナーのことのほうを優先させてしまったり、あるいは重ね合わせてしまったりする方もいます。私の親も含めた団塊世代のなかには、それを美徳と考えている方が少なからずいますが、その子である我々世代にも、その影響を知らず知らず、受け継いじゃってんなあと思える人は時折います。
けれど、働くことで社会と繋がり続けることは人としてのアイデンティティであり、権利であり、義務でもあります。
どんな塩梅で働くか、は最終的には個々人の考えで決めることであり、どんな決断であっても尊重されるべきです。けれど、特にいまの日本では、女性がその決断に多くのバイアスがかかったり、不合理だったり、必要以上に自分自身を過小評価したり、いちど「正社員」というレールを外れたらもう戻れないといった問題が大きすぎますから、「自分がやりたいことで働く」という軸がブレてしまいがちです。
転職するかどうか一旦は置いといて、どこかでじっくり、その軸に沿って棚卸ししてみることは特にワーキングマザーにとって必要な時間だと考えます。
昨今はストレングスファインダーを社員研修やチームビルディングに取り入れる企業も増えてきていますし、キャリアコンサルティングやキャリアコーチングを受けられる機会も身近になってきました。
もちろん、そこまではちょっと・・・という方でも「育休後カフェ®」をはじめ、ワーキングマザーのシェアリングの場やスキルアップの場も十分に「壁打ち」の機会として活用できます。「日々のことでいっぱいいっぱいなのに、先のことなんて全然考えられない・・・」と、うじうじ悩んでいる時間があったら、まずはそういった機会に足を運んで、自分の今や◯年後に、本気で向き合ってみましょう。
一人で悶々と悩みを抱え込んで自己肯定感を下げる方をみるのはもう、耐えられません。
働く母たちは、もう十分頑張っています。せっかく働いてるんだから、輝こうぜ。
【育休後カフェ@成増 SUMMER 7月28日・8月18日に開催!】
仕事をしながら子育てしている(したい)方たちが、男女問わず悩みをわかちあい、共感し励まし合うことによって、これからの自分の働き方や子育てを主体的に考える、きっかけづくりの場、 安心して本音で話せる場「育休後カフェ®」。
7月28日・8月18日に板橋区成増で開催します!
テーマはどちらも「時短勤務とキャリアアップ」。
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