2018年11月18日(日)10:00-12:00、池袋駅近くの某貸会議室にて「育休後カフェ®」を開催しました!
私がホームグラウンドとしている成増から、池袋へは急行で10分程度。ターミナル駅ということもあって、都内だけでなくさいたま市や川崎市などさまざまなエリアから、10名の方に参加いただきました。
今回のテーマは「転職という選択肢」。ずしり、と重く響くワードですよね。
やはり参加者も、どうしても少し固い表情になりがちでしたが、最終的には時おり笑い声も起こる、穏やかな雰囲気でイベントを楽しんでいただきました。
転職は奥深いテーマであり、普段の日常生活ではなかなか、誰かとじっくり話す機会が無い、あるいは話しにくい内容でもあります。対話タイムは短かったですから、もっと深くじっくり対話したいというモヤモヤが、より深まってしまったかもしれませんね(苦笑)。
転職に向けての意欲、また今の環境への満足感、どれをとっても11名全てバラバラのため、全員の関心事に満遍なくお応えできたか?というと難しかったかもしれませんが、自分自身の棚卸しの大切さや、スキルのフレームワークは参考になった方が多かったようです。
育休後の働き方、「What/Why/How」の整理が
すべての第一歩
「転職」が頭にちらついたら、気になるのはどんな準備が必要か?でしょう。
今回のイベントでは、まずライトニングトークとして、今年7月に転職エージェントに転職(笑)した私・ヤザワが、毎日企業からのニーズを受けて育休後世代とのお仕事マッチングをしている観点から、
・企業側の本音(育休後世代の転職者に企業が求めていることって?)
・What(どんな仕事で働くか):スキルの整理
・Why(どうして働くか):自分にとって重視したい要素や目的の整理
・How(どう働くか):多様化している雇用形態・契約形態の確認
・転職活動とはセルフプレゼンテーションである:伝えることと伝わることは違う
といった内容について、資料+スピーチにてお話致しました。
私としては「スキル」それもポータブルスキルの整理把握は転職するかどうかは別としても、絶対に意味がある、大切にしてほしいです、と日曜朝っぱらから多少ツバ飛ばしながら力説した次第でございます。
ポータブルスキルとは「どこへ行ってもどんな職種でも通用するスキル」のことです。専門知識や資格等とは違うスキルで、ざっくり
・コンセプチュアルスキル(仕事のしかたや、物事のとらえかた)
・ヒューマンスキル(人との関わりかた)
に大別されます。(更に詳細な情報は厚生労働省からキャリコン向けテキストとしてPDFも出ています ので興味ある方はどうぞ)
アラサー・アラフォーが中心の育休後各位。企業側はこの世代にはなるべく早く戦力になってもらえることや、自走性を求めていることがほとんどです。自社にちゃんと馴染んで、みんなと一緒にしっかり成果を出せる人かどうかを一番知りたいのです。
育休世代はとかく「私、子持ちなんですけど転職できますかね」と気にされますが、子持ちかどうかは関係ありません。
そのことを、数少ない媒体&機会(履歴書・経歴書・面接)で伝えるには、候補者となったその瞬間から、相手(企業側)に「伝わる」ことをしっかり意識しないといけません。相手の立場に立って、端的に整理し、かつ言い方・書き方を考えよう、と言いたいのです。
そんなこと当然でしょ、と鼻で笑われそうな話なのですが、毎日人間まみれ・経歴書まみれになっている私から言わせてもらえれば、自己中心的・他責的、もしくは自己評価が低すぎる、といった「私は配慮が必要な人材です」と言わんばかりの姿勢が時折、育休世代の転職活動で見受けられるのが残念で仕方なく、このため率直なところをお話した次第です。
そして、そこまで準備をしても、残念ながら、落ちるときは落ちます。お見合いと同じで、他の人との相対的な評価や、タイミングなどで決まることも往々にしてありますから、反省・ふりかえりはしても、凹みすぎる必要はありません。次!次!と心折れず前進するしなやかさ、たくましさも必要ですし、家族を味方につけて支えてもらうことも重要です。
転職してよかった!
けれど「アンラーニング」に試行錯誤の毎日
続いて、育休後の転職経験者2名に、自身の転職についてインタビュータイム。
左)つちや しのぶさん (育休後アドバイザー®/育休後カフェ®ファシリテーター)
事務機器メーカー → インターネット企業
新卒で入社したメーカーで勤続24年、知的財産権の管理業務に携わる。会社や仕事に不満はなく、定年まで勤め上げる気満々だった。しかし、2017年に乳がんに罹患、同級生の突然の訃報に遭遇し、定年後でいいや~と思っていたことを復業としてスタートさせることを決意。47歳事務職ワーキングマザーの転職活動は・・・?!
右)青柳 博子さん
国家公務員 → 教育系ベンチャー企業
大学院中退後、総務省、内閣府等で勤務。子育て経験から子供の可能性を引き出すプログラミングの力に衝撃を受け「一度の人生、やりたいことに飛び込んでみるのもまた一興」と転職を決意。お役所からベンチャー企業へ、180度違うカルチャーの中で揉まれつつ、まだ自分にも伸びしろがあることに喜びを感じる日々。
対談では、
・転職の動機
・転職活動の感触
・転職してみてどうだった?
と質問していったのですが、一番(?)、お二人のホンネがポロリしたかなー、と私が感じたのは「前職とのカルチャーギャップ」に関する部分でしたね。
メーカーではリスクを取らないことが善。ひとりひとりの役割も明確だった。今のインターネット企業では、走りながら考えていくカルチャーで、目的も役割もふわふわしていることが多く、間もなく入社1年になるが未だに修行中(つちやさん)
ベンチャーということで、良くも悪くも労務面はおおらか。勤務時間外でも容赦なくスマホにメールが着信する。「勤務時間外でも返信しろ」とは誰も言わないけれど、何となく返信しておいたほうが良さそうなときはしたりする。その分、家庭の都合などの在宅勤務は自分の裁量で判断できる。ベンチャーでは自己管理能力がハイレベルで要求され、指示待ち・会社からの管理待ちに慣れてしまっていると恐らく厳しい(青柳さん)
奇しくも2人の発言に共通するのは「アンラーニング」の試行錯誤。
アンラーニングとは、これまで身につけてきた知識や習慣、技術などを、意識的に捨てる、もしくはアップデートするという取り組み。昨今のスピーディな事業変化に伴い、たとえ転職しなかったとしても職場の中でさまざまな働き方や業務が大きく変化している、といった企業は少なくないのではないでしょうか。
ましてや転職は会社そのものを変えることですから、アンラーニングの必要性はとても高まります。転職活動をもし始める場合、転職先が無事見つかって入社が決まったら、そこでゴール、と思ってしまいがちですが、実はそこからが真のスタートでもあります。「アンラーニング」は転職に限らず、これから人生100年時代、働き続け・学び続けていかねばならない私達全員にとって必須な能力といえるかもしれません。
転職以外にも沢山の選択肢がある。人生において、どれも価値ある選択肢になりうる
最後に、イベント後半は対話タイム。
ただ、私のライトニングトークと、つちやさん・青柳さんのミニ対談を通じて、なんだかすっかり「私に転職なんてできる気がしない・・・(´・ω・`)ショボーン」と参加者の口角がダダ下がってしまったような・・・
内心、多少慌てるヤザワ。難しい話をしすぎてしまったかな?!ごごごめんなさい!
対話タイムでは、感想をシェアしつつ、皆さんの状況を伺っていきました。
参加者の皆さん、もちろんお仕事やご状況はさまざまなのですが、いくつか共通していた点があり、とても(悪い意味で)気になってしまったところも多々ありました。
今の職場は長時間労働した人が時間で評価され、出世できる雰囲気がとても強い。もっと、出している成果で評価してほしい
仕事を頑張っているのに、報われない。希望している仕事がまわってこない
時短勤務になったとたん、物足りないポジションに移された
時短はとっていないけれど、子供のお迎えがあって残業ができないので、残業に追われる周りに毎日引け目を感じている
10年近く同じ会社で、殆ど変わらない仕事をしてきた。福利厚生も充実しているので転職する理由がない。ただ、仕事が楽に感じてしまい、一方で転職してキラキラしている知人を見るたびに「これでいいのか」と焦りを感じる
・・・
な、な、なるほどーーーー!あるあるある!!とヘッドバンギングしつつ、
いつまで経っても変わらないところは変わらない、ドメスティックな日本の労働環境、そしてそのなかで疲弊している我らが育休世代仲間を思うと、哀しくなってしまったのでした。
ただ、、、
今、転職エージェントとして働く私が言うのもアレでナニかもしれませんが、「転職しようかどうか悩み、迷っているうちは、今のこの環境で集中したほうがいい」と断言します。
「仕事が楽に感じる」のは、経験も実力もついてきた証拠です。悩むより前に、まずはそのことに自信を持つべきです。そのうえで、すぐに転職に飛びつかず、今の会社でもっと新しい挑戦ができないか、やれるトライはすることが肝要です。
新しい事業を提案してみる
組織改善にチャレンジしてみる
他の人の仕事をサポートする
さらに上のポジションを目指して昇進の準備をする
専門性を証明すべく、資格や免許を取る
ポータブルスキルを磨くために、週末プロボノや副業で「他流試合」にトライする
などなど。今の環境にいるからこそ、工夫次第でやれることを色々やってみることは成長にもつながるのではないでしょうか。
さらにさらに!
育休世代の多くの人が転職理由として挙げがちな「ライフワークバランス」は、実は、きちんと自分の力で成果を出せることが「認められて」初めて実現できるものであること、一体どのくらいの人が認識しているでしょうか。
「自由にやりたい、けど成果は期待できない」ようなやつを雇いたがる酔狂な会社など存在しません。自分の成果や実力を、それなりに正確に把握してくれている人(もしくはそれを周知できる関係性をすでに作れている人)は現職のほうが普通、転職先より多いですよね。
「え、でもベンチャーとか最初から誰でも在宅オッケーなところもあるじゃん」?
そうですね。それだけ最初から裁量を認めている会社は、その分期待値も高いと心得ましょう。スピード感も、特に大企業や行政などから入ってきた方からすれば人力車と新幹線ぐらいの違いを感じることも珍しくありません。(※私も経験あり。ただ、慣れますよ。)
それと「在宅勤務できる会社に行きたい」という発言もよく耳にするのですが、そういう方にはぜひ、在宅勤務のリアルをしっかりお伝えしたい!ロケーションフリーや通勤ストレスが無いといった利点はもちろんありますが、コミュニケーションの難易度が上がる、というデメリットは、無視できないほど大きいです。最近ではそういった側面から、対面によるコミュニケーションの良さが見直され、「在宅勤務を禁止する」ベンチャーなども出てきているほどです。
転職は、今のこの環境で、「本当にやり尽くした、やれることはやった」と思えて、明らかにここでは得られない何かが欲しくなった時に検討したほうがいいでしょう。
(もしくはパワハラ・セクハラなど、どう考えてもおかしいという状況から脱出すべきときも、ですね。ただ、必ず次の職場を決めてから。)
このご時世、いまだに成果でなく長時間労働、残業ありきで成り立っているような昭和ドメスティック企業は、個人的には滅びちまえよと思いますが、なんだかんだ多々あります。
もっと身もふたもないことを書いてしまうと「うちは成果で評価するよ」という建前の会社であっても、内情を紐解けば、結局誰かしらは評価に不満を持っている、といった会社なんてのも、ゴロゴロあります。
「育休後カフェ」に関心を持ち足を運ぶような方の多くは、定時内できっちり成果を出す優秀な人(特に女性)だと思います。そんな人たちが「なんでダラダラ残業しているやつより給料低いんだ私」と自分を呪うことほど不毛なことはない。「自分に自信をもって、気高くあればいいんです」(by青柳さん)の言葉には、全池袋が泣いた。
隣の芝が青く見えるのは仕方ありません。にんげんだもの。おんなだもの。
けれど、今の職場を出ても、外にパラダイスは待っていません。それは「青い鳥症候群」と呼ばれ、年令問わず、女性によく見られる傾向のひとつでもあります。
「転職という選択肢」というタイトルには、「それ以外にも沢山の選択肢がある。人生において、どれも価値ある選択肢になりうる」という意味を込めています。(実は)
いろいろな選択肢や人生に触れることで、今の自分の位置を確かめながら、ゆっくり歩み続けていく。一人でも多くの方にとって「育休後カフェ」が、そんな場になっていければと強く思います。
参加者の声
ここにくるまでは、自分の職場がいろんなことについて遅れているような気がして、引け目を感じていたんですが、いろいろな人達の働いている環境や状況を聞いて、実は意外と恵まれた環境にいるんじゃないか、ということが確認できた気がします。
子どもを生んでから、なんだか職場で居場所がなくなったような気がして、この職場から出ないといけないかな、けれど踏ん切りがつかず、勇気もないのが今の状況です。ただ、自分にも積み重ねてきたスキルがあるはずで、特にポータブルスキルは、自分では気づきにくい事が多いから、頑張って色々なエピソードを思い出しながら、棚卸しにチャレンジしてみたいと思います。
転職エージェントっていう存在をよく知りませんでした。お金がかかるのかと思っていました。手段をちゃんと知って、賢く使うことの大切さを知りました。
転職、という方向だけでなく、今の職場と業務委託契約に切り替えて副業を始める、という可能性は、今まで考えもしませんでした。けれど実際にそういう働き方も世の中では、始まっているんですよね。
私はこれまで新卒で入った会社にずっといて、大きな不満もなく今まで過ごしてきたけれど、ここへきて物足りなさや、なんとはなしの居心地の悪さを感じることが増えてきました。漠然と転職という言葉がちらついていましたが、自分を整理しながら、色々な選択肢を緩やかに考えていこうという気になりました。
次回のお知らせ
今回、Facebook上でイベントページを作り、数人でシェアしたところ、あっという間に定員に達し、キャンセル待ちも数多く発生したことから、以下の通り開催企画中です!
詳細・お申込みページは近日公開しますので、楽しみにお待ちください!またそれぞれ、企画決定次第、Facebookページにてお知らせしますので、フォローをお願いいたします。
2019年 2月 3日(日)10:00−12:00 @水道橋
2019年 2月 24日(日) または3月後半の土日いずれか @関内(横浜)
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